6月29日交配0711
6月29日交配のSwedish Bells 果球




今後は自作実生の世界に進むと宣言し、
今年は本気で人工交配作業に取り組むことにしておりますが、
交配は6月で終了。7月からは採種と播種がメインになってきます。
若採りの直播き(採り播き)で発芽までの期間短縮を狙います。


前回若採りの話からアブシジン酸の記事を予告しました。
アブシジン酸(アブシシン酸) abscisic acid は
植物ホルモンの一種です。

昨夜は久しぶりに植物ホルモンの本を読み返しておりました。
今まではジベレリン(種子の休眠打破・発芽促進)、
オーキシン(発根促進・生長促進)や
サイトカイニン(細胞活性化)に関心が偏っていましたが、
改めてアブシジン酸に着目して目から鱗が落ちております。


端的に言うと発芽抑制物質と呼んでいるものの正体です。
(それ以外にも作用は色々ありますが今は置いといて、)
若採りも、殻剥きZIPも、ジベレリン処理も
アブシジン酸を避ける・減少させる・不活性化する、
みんなそのための処方です。

普通に播くと発芽に1年以上かかるのは
殻に発芽抑制物質があるからと言う説があります。
当たらずと雖も遠からずで、
正しくは殻にではなく、種子の胚の中にアブシジン酸が生成・蓄積されて
休眠状態を保つ仕組みであることが解っています。

構造や生成は複雑でややこしいので略しますが
胚が活動しようとすると抑制的に働く仕組みになっていて
やがて分解するまでタイムスイッチのような働きをしています。

<余談>
生きた胚珠に含まれていて水に不溶性なので
ZIPで密封する水は界面活性剤(例えばサポニン)を微量加えるか、
エタノールには溶けるのでごく微量加えて撹拌し、
頻繁に水を換えるってのはどうでしょうか?
(これはただの思いつきで保証の限りではありません。)


0503青い挿穂の霞の君0711
2か月を経過してまだ挿し穂が青い霞の君
 画像は本文とは無関係です。(文字ばかりでは殺風景でしたので…)



アブシジン酸は植物の水分コントロールにも関わってますが、
果球が熟した後水分を断って乾燥の過程に進む頃には
胚珠への蓄積は完了している(=種子は休眠に入る)と思われます。

従って蓄積が始まる前に未完熟で採り播くのには一理あります。
ただそのタイミングがまだよく解りません。

若採りの採り播きは早い段階で果球から外して
土の中で数週間アブシジン・フリーで追熟させるイメージ。

果球が僅かでも黄色くなる前に採種した方が良いかもしれません。
未完熟採種の適期は実はもっと早いような気がします。
授粉後2か月は遅すぎたかも。

このあたりの加減は経験を積んでいくしかないようですね。



<補足>
未完熟種子を殻剥きすることはおススメできません。
 種皮が柔らかく胚珠を傷める危険性が高いです。

繰り返し言うようですが
アブシジン酸はそもそも殻には含まれていないので
 殻剥きではアブシジン酸を除去したことになりません。
 ZIP播きは種子を常時水漬け(吸水した状態)に保つのが目的。

吸水した胚は自身が持つ加水分解酵素の働きで
 貯蔵養分を糖(エネルギー)に分解していく。
 それを阻害するのがアブシジン酸。
 促進するのが胚自身が生成するジベレリン。
 このせめぎ合いによりアブシジン酸が徐々に消耗=減少する。
 ジベレリンが優勢になって発芽が始まる。と考えられています。


<参考>
講談社 新しい植物ホルモンの科学 小柴共一・神谷勇治 2002



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